壱木呂の会さんの「クロメ会」に参加してきました

9月13日(土)、14日(日)の2日間、日本産漆を支援する「NPO法人壱木呂の会」さん恒例の「クロメ会」に、今年もウルシネクストは賛助会員として参加してきました。今回は壱木呂の会さんが新体制に代わって初めてのクロメ会、新理事長の本間健司さんを筆頭に、新理事の皆さんの紹介があり、世代交代を印象づける会になりました。
参加者も総勢60人超え! 塗師で搔き子もされている喜多方漆器青年部の皆さんや、カナダで金継ぎを教えるなど日本の伝統文化を紹介されている若手の方(一時帰国で参加)、遠方の福岡からわざわざこの会に参加するために来られた方、藝大の学生さんたちなど、年々関係者の輪が広がっていくのを感じます。特に若い方の参加が増え、新鮮な話題があちこちで飛び交い、活気というか、将来への希望が感じられる素晴らしい会でした。
今年はイベントメニューもさらに充実。猪苗代を拠点に漆搔き職人をされている平井氏による漆搔き教室、ウルシ材の草木染体験、漆茶・漆コーヒーの試飲、漆畑・苗畑・見本林の中の優良品種ウルシの見学と奥久慈漆生産組合顧問の神長正則氏による解説、漆Tシャツの販売、夜の懇親会など、盛り沢山の内容でした。


猪苗代を拠点に漆搔き職人をされている平井岳氏による漆搔きの実演と解説


猪苗代を拠点に漆搔き職人をされている平井岳氏による漆搔きの実演と解説


ウルシ材の草木染体験では、白の漆Tシャツを各々購入して好きな色に漆染め


彦十蒔絵の創立者若宮隆志氏の意志を継いで立ち上げた「株式会社彦十蒔絵道」代表の高禎蓮氏による輪島の今についてのお話に耳を傾ける参加者


優良品種ウルシについて説明される奥久慈漆生産組合顧問の神長正則氏


優良品種ウルシ:2年ものでもちょっと爪で引っ掻いただけで漆の液が・・・


見本林の漆林をそれぞれ視察
中でも目玉は、沖縄から、浦添市美術館館長で漆芸家、元沖縄県立芸術大学教授の糸数政次先生をお招きしての、琉球漆芸の「堆錦」体験ワークショップと「琉球漆器の技術・技法について」の講演会。浦添市美術館は、1990年に開館した日本初の漆芸専門美術館で、沖縄県外で館長自らのお話が聞けるのは極々稀な機会とのこと。琉球漆器の加飾技術の一つ「堆錦」の豊かな色彩と立体造形の表現、手法に触れ、参加されている漆芸家の方々が特に興味津々で、先生に多くの質問を投げかけていました。


立体造形の材料「堆錦餅」を作るための工程“焼き漆”を実演する、沖縄県立芸大時代に糸数先生の教え子だった石井紘斗氏


「堆錦」体験ワークショップ:参加者の生徒さんそれぞれにアドバイスをする糸数先生


糸数先生自ら堆錦餅を切り出し、加飾の実演を行う


糸数先生がお気に入りの生徒さんの作品


2日目に行われた糸数先生による「琉球漆器の技術・技法について」の講演会
ウルシネクストは優良選抜漆苗の見本林プロジェクトでも一部関わらせていただいているため、年に何度か奥久慈を訪れますが、茨城県や常陸大宮市の取り組みとして、漆芸に関心のある若手を見習いを兼ねて漆搔き職人として雇用したり、奥久慈漆生産組合のサポートで地域おこし協力隊を採用するなど、行く度に若手の関係者が増えている、これからがとても頼もしい地域です。もちろん協力隊の皆さんもクロメ会に参加され、情報交換をさせていただきました。
壱木呂の会新体制で初めてのクロメ会の企画運営、準備に相当のご苦労があったことと思いますが、事務局の皆さま、大変お疲れさまでした! ありがとうございました。とても有意義な2日間でした!
執筆者プロフィール


- 特定非営利活動法人ウルシネクスト 専務理事