秦野市の漆畑で一斉点検と整備作業を行いました

11月16日(日)、神奈川県秦野市の三廻部(みくるべ)と柳川(やながわ)で、「丹沢漆の里ムーブメント」のメンバーと一緒に、皆さん集まっての作業は今年最後となる漆畑の一斉点検と整備を行いました。屋外作業を行うには絶好の小春日和、普段少人数では草刈り以外になかなか手が回らなかった作業を、1日かけて一気に行いました。

午前は三廻部の漆畑で、苗木を囲っていたトリカルネットの取り外しや電気柵の補修、周囲の草刈りを行いました。ネットを外すと、中には生育があまり良くない苗木もありましたが、ネットの高さを超えて育っているものもありました。ネットは鹿の被害から苗木を守るためには有効ですが、雑草が絡まりやすく苗木の成長を阻害する要因にもなるため、取り外す判断は難しいところです。今回、電気柵の効果に期待して、来年伸び伸びと育ってくれるよう祈りながら取り外すことにしました。

取り外す際、結束バンドの色を変えておくと分かりやすい、きつく締めすぎない方が後々作業しやすいなど、作業の効率上次につながる気づきもありました。取り外したネットは保管して、別の苗木に再利用する予定です。

整備作業前の圃場の様子

ネット内でたくましく育つ苗木

取り外したネットは再利用に向けて掃除をして保管

電気柵は、漏電していることが分かりました。下草が伸びて柵に触れ、電圧が下がってしまっていたようです。そのため今回、周囲の草刈りを徹底して行いました。また、コードの劣化で電流が途切れる不具合も発見し、交換して機能を回復させました。

電気柵周りの点検と草刈り作業

漏電箇所の修復と草刈り後に電気柵を張り直し

午後は柳川の漆畑へ移動し、下草の除去や柵の整備を行いました。特に柳のような背の高い草は柵の存在を消し、鹿の侵入を容易にするため、徹底して取り除きました。柵に絡みついた蔦や雑草を外すのも一苦労でしたが、作業後はすっきりしました。高さを延長して柵の存在を目立たせ、鹿が飛び越えないようにするために、ピンク色のビニールテープも張り直しました。理想は2.5m程度の高い防護柵ですが、費用の問題もあり、できる範囲で工夫を続けています。

柵に蔦や雑草が絡まって取り除くのも一苦労です

柵の外側は手持ち式草刈り機で一気に作業を進めます

鹿除け用のビニールテープの張り直し

秦野の漆畑は、イノシシがネットに穴をあけたり、鹿が柵を飛び越えたりと、苗木を守るのはなかなか大変です。鹿が角をこすりつけて幹が傷み、枯れてしまった木も多くありました。根元から新しい枝が出て完全にだめになったわけではない木もありました。課題は多くありますが、獣害は想像以上に頭の痛い問題です。見回り回数を増やし、定期的に整備を続けることの大切さを改めて痛感しました。

整備後の柳川の漆畑の様子

紅葉している苗木を見るとホッとし、癒やされます。今後の成長に期待を込め、季節の移ろいを感じながらの作業となりました。

紅葉に色づく希望の苗木

「丹沢漆の里ムーブメント」の皆さん、お疲れさまでした!

執筆者プロフィール

當麻祐啓

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