漆掻き道具 その1|漆掻き技術(5)

下の写真は、岩手県浄法寺町とその周辺地域のある漆掻きさんが用いる漆掻き道具です。
個人により、地域により、さらに加える道具もありますが、写真の道具が現在の国内で共通するものと考えて差し支えないと思います。
ただし、それぞれの名称は同一地域においても漆掻きさん個人により異なる場合が多いようです。


写真左から右へ1~7、右上を8として、漆掻きさんから名称をたずねたことがあります。下表になりました。(6はヤスリ、7はドウグブクロです)
| 人\道具 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 8 | 
|---|---|---|---|---|---|---|
| 浄法寺町 小又さん | カキカンナ | エグリ | ヘラ | カワムキ ウルシカマ | ゴクリ | タガッポウ カキタル | 
| 田子町 奥家さん | カキガマ カンナ | エグリ | カキベラ | カワムキ コケウチ | ゴングリ | タガッポウ | 
名称は小又さんのものを用いますと、道具の使い方は以下のとおりです。
目立は、カキカンナで傷をつけます。
その時にはカワムキを物差し代わりに用いる人もいます。
辺掻は、カワムキで外樹皮を削って平滑にし、カキカンナで傷をつけます。その後、カキカンナのメサシで漆液溝を切ります。
滲出する漆液をヘラで集め付着させ、そのヘラをタガッポウの縁にこすって中に流し落とします。
浦目掻・止掻の時期になると外樹皮が堅くなるため、カワムキに代えてエグリを用い、カキカンナからは辺掻と同じ道具で同じ作業です。
仕事を終え、漆液を漆樽に移す時、タガッポウの内に付着する漆液を取り除くものがゴクリなのです。
執筆者プロフィール


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昭和30年  青森県三戸郡新郷村谷地中に生まれる。
 昭和52年 弘前大学 工業試験場 漆工課卒業
 昭和52年~ 教職に携わり夏休み中に全国の漆産地を行脚
 平成8年~ 平成21年度青森県史編纂調査研究員(文化財部会推薦)
 平成28年~平成31年3月 青森県新郷村教育委員会教育長
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